TOWAKAI UNIVERSAL MEDICAL SERVICE

ミャンマーでは約80年前から内戦が続いていて、未だ安全に暮らせない地域があります。交通機関や道路の整備が進まず、病気になっても病院に行けなかったり学校に通うことができなかったりします。今年、私の弟は兵役義務の対象に当たる18歳になりました。幼い頃から特別貧しい暮らしをしていたわけではありませんが、兄妹が5人と多く、妹の学費の心配もあり、「自分が家計を支えたい」と考えたことから、母国を離れ安全で清潔な国という印象があった日本で働くことを決めました。
日本で仕事をするからには、日本の方々の力になりたいと思いインターネットで調べてみると、少子高齢化が社会問題になっていることがわかりました。学生時代はIT系を専攻しており医療・福祉に携わった経験はありませんでしたが、日本で働くことを決意してからは介護の道一本で考えることにしました。
2020年に来日して以降、一度も母国に帰っていません。本当は家族に会いたいけれど、国の事情で帰国後に日本に戻ってこられない可能性があるからです。両親は、離れて暮らしていてもいつも励ましてくれます。ミャンマー人は仏教徒が多く温和で争いを避ける人が多いとされています。美しい自然や世界遺産など豊かな文化もあるので、1日も早く平和な社会になることを願っています。
一番大きな違いは、ミャンマーでは自宅で家族が介護するのに対し、日本では施設に入居して専門スタッフが介護をすることです。また、ミャンマーは平均寿命が短い(2023年時点で66歳)ため、認知症疾患を持つ高齢者が少なく、治療においては延命措置を行わないことが多いです。私の祖父母も自宅で亡くなりました。そのため、日本の高齢者施設で働くようになってはじめて認知症の症状を目の当たりにしました。同じことを何度もおっしゃったり、見えないものを見えるとおっしゃったりする方とどのように接するべきか困惑したこともありましたが、上司に「これは認知症の症状だよ」と教えていただき、入居者様と会話をしたり一緒に過ごしたりするうちに、冷静に向き合えるようになりました。

グループ全体の外国人職員を支援する専門の部署があり、仕事のことだけでなく生活面も気にかけていただけるので非常に助かっています。特に、介護福祉士の国家試験に合格する前は、日本語の学習や資格取得のための勉強の場を設けていただき、不安なことがないかと繰り返し面談をしていただきました。安心して長く働ける未来が想像できる職場だと思います。ミャンマー出身の先輩が多く働いていることも、タムスグループに入職を決めた理由のひとつです。
近年、日本の介護施設で働くミャンマー人が増えています。私自身が介護福祉士の勉強で苦労した経験から、母国語でわかりやすく教えてあげることができれば、これから国家資格の取得をめざす人たちの役に立てるのではないかと考えました。
オンラインセミナーはZoomで開催しており、現在は北海道から九州まで約40名の生徒を受け持っています。職場のシフトがわかったらセミナーのスケジュールを組み、生徒に共有します。夜勤明けや休日の時間を利用して、週に3日程度行っています。講師をするようになり勉強時間が増えたことで、視力が低下してメガネ生活になってしまいました。(笑)
2023年に介護福祉士の試験に合格しました。これからも介護福祉士として専門知識と技術を身につけていきたいです。日々の業務で学んだことをグループ内外のミャンマー出身の後輩たちに共有し、自分だけでなく、皆が良いお給料やビザをもらえるよう尽力したいと思っています。
介護の仕事は大変なこともありますが、入居者様の「ありがとう」の言葉が大きな力になります。あきらめずに頑張りましょう!


